こんにちは!
人の心を癒し元気にする絵を山で描くアーティスト、若生ひとみです。

アクリル絵の具を使っていると、集中して描いているうちにうっかりキャップをし忘れたり、途中で別の用事に取り掛かったために長期間放置したりして、絵の具が固まってしまうことがありますよね。
特に、ダイソーで手軽に手に入るアクリル絵の具はコスパが良くて人気ですが、「落ちない」と評判なだけに、固まるとどうしたらいいのか迷ってしまう方も多いのではないでしょうか。
今回は、そんな「アクリル絵の具が固まってしまった!」というときに使える対処法をご紹介します。
絵の具が固まる理由から復活方法、そして予防法まで詳しく解説しますので、ぜひ最後までご覧ください。
Contents
アクリル絵の具はなぜ固まる?
空気に触れると水分が蒸発する
アクリル絵の具は水性ですが、乾くと耐水性になるという特性を持っています。
そのため、空気に触れている部分は徐々に水分が蒸発してしまい、固まってしまうのです。
この特性は、絵画制作においては、透明感を維持しつつ深みを出すために塗り重ねていく際に紙面上の色と混ざることなく進められるので、とても有り難いですよね。
その反面、家具など意図しない場所に着色してしまっていたことに後から気づいた時などは、慌ててしまいますよね。
水分がなくなった絵の具は、もう一度水を加えてもなかなか元には戻らないことがあります。
特に表面から乾いていくため、しまった!と思ったときにはすでにカチカチになっていた、ということもあります。


気温や湿度の影響を受けやすい
高温や乾燥した環境では、絵の具内部の水分がより早く失われてしまいます。
夏場の保管や暖房の近くに置いたままだと、特に固まりやすくなるので注意が必要ですね。
また、寒暖差が激しい場所ではチューブ内部の空気が膨張・収縮を繰り返し、そのたびにわずかに空気が入り込みやすくなり、水分が徐々に失われていきます。
これも絵の具が固まる一因となります。
キャップの閉め忘れ・緩み
使用後にキャップをきちんと閉めなかった場合、内部に空気が入り、水分が蒸発しやすくなります。
これが固まる一番の原因とも言えるでしょう。
また、キャップのネジ部分に絵の具が残っていると、次回使用時に開けづらくなることもあるので注意が必要です。

私は、絵画制作時に全ての絵の具を出して色相ごとに並べ、使用したら少し離れた場所へ使用した順に並べるようにしています。
そうすると、「さっきの、あの色をもう一度使いたい」と思った時にすぐに見つけられるメリットと、制作後に絵の具をしまう際、使用した絵の具のみ、蓋の確認をすればいいので緩んだままの状態でしまうこともなく、安心です。

ダイソーのアクリル絵の具の特徴
コスパが抜群
ダイソーのアクリル絵の具は、100円とは思えないほどの発色や粘度を持っており、特に初心者やちょっとした作品作りに最適です。
カラー展開も豊富で、ホワイト・ブラック・レッドなど基本色のほか、パステルやメタリック系などもあります。
少量使い切りやすいサイズなのも嬉しいポイントです。
「落ちない」ことで有名
乾くと耐水性が非常に高く、紙はもちろん、布や木材にも定着しやすい特徴があります。
水では落ちにくく、しっかり乾燥させれば重ね塗りも可能です。
「落ちない」という特性はアート作品だけでなく、DIYや装飾用途にも人気の理由です。
先日、とある現場の壁紙の画鋲穴を埋めるため、ダイソーでアクリル絵の具を購入しました。
画鋲穴を埋めパテで行った補修が白浮きし、かえって目立ってしまったからです。
壁の色が微妙な色合いだったため、3色購入し混ぜて使いましたが、違和感なく使えただけでなく画鋲穴もすっかり目立たなくなり、とても助かりました。
ただし、うっかり衣服につけてしまうと本当に落ちないので、使用時は服装にも気をつけましょう。

かく言う私自身も、「画鋲穴の補修程度だから~」と軽く見たため、シャツに付けてしまいました。
しかも、気づいたのは洗った洗濯物を畳んでいた時。すっかり油断していましたね笑。

チューブタイプで扱いやすい
チューブ型で必要な分だけ出しやすく、無駄なく使えるのも魅力です。
ただし、出し口が固まると絵の具が出にくくなるため、使い終わったら、都度、拭き取るなどの工夫が必要です。
また、チューブの先端部分に少量の絵の具が残ると、次回使用時にフタが開かなくなることも。
ティッシュや濡れ布で軽くふき取る習慣をつけると長持ちします。
前回使用時の処理がわるく、フタを開けた際に出し口付近の絵の具がダマになるなどの塊ができていた時は、先の細いものでその部分をかき出すと良いです。
固まったアクリル絵の具の対処法
少しだけ固まった場合は水で復活
表面だけが固まっているような場合、水やぬるま湯を少量加えて、つまようじや竹串で混ぜることで柔らかく戻ることがあります。
ここで注意したいのは、「入れすぎない」こと。水を加えすぎると粘度が失われ、色が薄くなることがあります。
少しずつ加えて様子を見るのがコツです。
また、柔らかくした際、水でのばしきれずに薄い膜のような状態のものが残った場合は、パレットの端などに除け、使わないようにしてください。
中まで固まっている場合はアクリル絵の具用メディウムを使用
完全に固まっている場合には、水だけでは復活できません。
専用のリターダー(遅乾メディウム)やアクリルリキッドメディウムを少量加え、しばらく置いてからしっかり混ぜると、使える状態に戻ることがあります。
リターダーは100円ショップには置いていない場合が多いため、画材店やオンラインでの購入が必要です。
少量でも十分に効果があるので、1本持っておくと便利です。

完全にカチカチの場合はリメイク活用
まったく復活が見込めないほど固まってしまった場合は、絵の具として使うのではなく、固まった形を活かしてアート素材にするという手もあります。
そんなときは、思い切り楽しんでしまいましょう!
モザイクのパーツにしたり、キャンバスに貼りつけて立体的な作品を作ったり、工夫次第で新たな作品に生まれ変わります。
廃材アートとして活用するのもおすすめです。
幼な心を全開にして制限を外し、普段しないようなことを楽しみながら行っているうちに、新しい技法に出会えたり新境地が開いたりするかもしれません。

固まりを防ぐための保管と使い方のコツ
使用後はすぐにキャップを閉める
一番大事なのは、使い終わったらすぐにキャップをしっかり閉めることです。
特にダイソーのチューブは軽い力でも開閉できるので、しっかり締めておくことで空気の侵入を防げます。
「次に使うから…」と少し開けたまま放置してしまうこともありますが、それが固まりの原因になるので、こまめにフタを閉める習慣をつけましょう。
「キャップの閉め忘れ・緩み」でお伝えしたように、制作時に使用した絵の具がわかるように置いて、最後にフタのチェックするのもおススメです。
使用前後にチューブの口を清潔に
出し口に絵の具が残っていると、そこから固まり始めてフタが閉まらなくなったり、次回使用時に詰まって出にくくなったりします。
ティッシュで軽くふき取るだけでも効果的です。
毎回のことなので面倒に感じるかもしれませんが、これを習慣化することで絵の具の寿命がぐんと伸びます。
高温・乾燥を避けて保管する
直射日光の当たる場所や、冬場に暖房の近くに置いておくのは避けましょう。
温度と湿度が安定した場所(たとえば引き出しの中など)で保管するのが理想です。
タッパーやジップ付きの袋に入れ、湿度を保つ工夫をするのもおすすめです。
乾燥剤を一緒に入れておくと、カビ対策にもなります。

私は毎月、1週間〜10日間ほど山のアトリエで複数の作品を仕上げまで行いますが、制作を終えたら、都度、画材を片付けています。
使用した絵の具はそれぞれの蓋をきっちり閉めた上、アクリル樹脂製のケースに入れ、上の段の押し入れに収納しています。下段より上の段の方が湿度の影響を受けにくいからです。
また、押し入れは直射日光が入らず、窓からも遠いので、年間を通して比較的温度が安定しています。
ただ、山の中なので、1年を通して下段に除湿剤を設置し湿度調整を行っています。
まとめ
ダイソーのアクリル絵の具は、安価で手に入るうえに「落ちない」ほどの強力な定着力があり、多くの人に愛用されています。
手軽に可能性を広げられ、その性質を活かして透明感を維持しながら深みを持たせられる美しい作品づくりをすることができる夢のツールです。
しかし、取り扱いを少し間違えると、固まってしまうなどトラブルの元になることもあります。
今回ご紹介したように、固まり具合に応じた対処法を知っておけば、ムダにすることなく最後まで使い切ることができます。
また、普段の使い方や保管方法を少し工夫するだけで、絵の具の劣化を防いで長く愛用することも可能です。
付き合い方によって、いかようにも変容する相棒のようなものですね。
そして、アートに「正解」がないように、少し固まってしまった絵の具でも、工夫次第で新たな表現に活かすこともできます。
手軽に楽しめるダイソーのアクリル絵の具と上手に付き合い、これからもワクワクするような創作活動を続けていきましょう。
私が山で制作するようになって4〜5年が経過し、屋外キャンプ場の一角をお借りして制作していた頃のことです。
勢いよく描いたあまり、近くの水路に絵の具が飛んでしまったのですが、水入れなどを洗いに行った時までそれに気づかず、後から青くなったという出来事がありました。
幸い、貸主がおおらかな方だったこともあり、水路に飛んだ金色のドットを縁起の良いものと捉えてくださいましたが、定着したアクリル絵の具を落とさなければならなかった場合、有機溶剤を用いた処理を行っていたと思います。